2007年07月23日
愛猫チャンイ;竹の葉
6年近く使った洗濯機が壊れてしまい、先週末に新しい洗濯機が我が家に来た。電機屋さんが来る前に洗濯機の通路を確保して、古い洗濯機を雑巾で拭いた。我が家ではベランダに洗濯機置場があり、一応、三方はコンクリート壁で覆われているのだが、どうしても雨風が吹き込んで汚れてしまう。しかも、台風4号襲来の時には既に動かなくなっていたから、台風が去った後も洗濯機はドロドロのままほったらかしだった。
洗濯機を拭きながら、ふと初代チャンイのことを思い出した。初代チャンイはベランダに出るのが好きだった。猫伝染性腹膜炎のドライタイプがかなり進行して目が見えなくなり、衰弱のため自力でベランダに下りられなくなってからも、私がタバコを吸うためベランダへと続く窓を開けると、その音を聞きつけて窓辺にやって来た。そして、窓辺でうずくまっているチャンイを抱き上げてベランダに下ろしてやると、なかなか部屋に戻ってこない。これには困った。何しろ目が見えず、度重なる痙攣による麻痺でまともに歩くことさえできないのに、ベランダの壁の隙間から身を乗り出して外の様子を窺う。時々顔を上げてクンクンと風の匂いを嗅ぐ。こちらはバランスを崩して2階から落っこちるのではないかとヒヤヒヤする。それで捕まえようと私が腰を上げると、素早く危機を察知して洗濯機の裏に逃げる。しかも一旦そこに入り込むと籠城を決め込んで、長時間出てこない。
洗濯機を拭く手を止めて、その裏に初代チャンイが生きていた痕跡が残っていないかそっと覗いてみたが、1階に住む大家さんの庭から飛んできたと思われる竹の葉が吹きだまっているだけだった。少しガッカリして再び洗濯機の外側を拭き、蛇口につながっているホースを拭き、蓋を開けて内側を拭いた。部屋に戻ろうとしたら、窓辺に箱座りしている二代目チャンイと目が合った。二代目は梅雨明けしてからほとんどベランダに出ない。毛が長いから多分暑いのだろう。2年前の今頃の先代ならまだ元気だったので、狭いアパートのベランダを行ったり来たりしていたはずだ。部屋に入って二代目を抱き上げようとしたら逃げられた。小憎らしい奴だ。
それから約10分後、ほぼ約束の時間通りに電機屋さんが2人来て、まず古い洗濯機をベランダから撤去した。私は用意していた箒で吹きだまった竹の葉を掃こうとしたが、手が止まった。竹の葉はみんな枯れている。こないだの台風4号で飛ばされたのなら、まだ青いのではないか。もしかしたら、初代チャンイはこの竹の葉の匂いを嗅いだことがあるかも知れない。もしかしたら、この上を抜き足差し足忍び足で歩いたことがあるかも知れない。箒を片手にベランダでぼんやり突っ立ってると、電機屋さんが新しい洗濯機を2人がかりで運んできた。「設置してもいいですか」「えぇ、いいですよ。お願いします」。結局、吹きだまった竹の葉も、古い洗濯機の底面積を示している砂ぼこりも、きれいにすることができないまま新しい洗濯機が設置された。気づいたら二代目の姿が見えない。電機屋さんが古い洗濯機をトラックに積み込んでいる間に2DKの狭い室内のあちらこちらを覗きながら「チャンイー、もう終わったよー。出ておいでー」と声をかけたが、完全に気配を殺している。多分、ベッドの下に逃げ込んだのだろう。
戻ってきた電機屋さんが差し出した伝票の何カ所かに捺印した後、「白黒猫見ませんでした?」と訊いたら、年長者の方が「白黒ですか?…黒猫ならさっきあそこに行きましたけど」と寝室を指差した。やはりベッドの下か。小憎らしい白黒猫は真上から見ると黒猫に見えるので、きっとこの人の足元をすり抜けて避難したに違いない。電機屋さんに缶入りさんぴん茶を2本渡して礼を言った。電機屋さんが去り、静かになった部屋でもう1度二代目を呼んだ。耳を澄ましたがまだ気配を殺している。そこで、台所からポリ袋を持ってきてベッドのそばでカサカサ音を立てたら、すぐに目をまん丸にした二代目が現れた。長時間籠城しないのはお前のいい所だな、チャンイ。
洗濯機を拭きながら、ふと初代チャンイのことを思い出した。初代チャンイはベランダに出るのが好きだった。猫伝染性腹膜炎のドライタイプがかなり進行して目が見えなくなり、衰弱のため自力でベランダに下りられなくなってからも、私がタバコを吸うためベランダへと続く窓を開けると、その音を聞きつけて窓辺にやって来た。そして、窓辺でうずくまっているチャンイを抱き上げてベランダに下ろしてやると、なかなか部屋に戻ってこない。これには困った。何しろ目が見えず、度重なる痙攣による麻痺でまともに歩くことさえできないのに、ベランダの壁の隙間から身を乗り出して外の様子を窺う。時々顔を上げてクンクンと風の匂いを嗅ぐ。こちらはバランスを崩して2階から落っこちるのではないかとヒヤヒヤする。それで捕まえようと私が腰を上げると、素早く危機を察知して洗濯機の裏に逃げる。しかも一旦そこに入り込むと籠城を決め込んで、長時間出てこない。
洗濯機を拭く手を止めて、その裏に初代チャンイが生きていた痕跡が残っていないかそっと覗いてみたが、1階に住む大家さんの庭から飛んできたと思われる竹の葉が吹きだまっているだけだった。少しガッカリして再び洗濯機の外側を拭き、蛇口につながっているホースを拭き、蓋を開けて内側を拭いた。部屋に戻ろうとしたら、窓辺に箱座りしている二代目チャンイと目が合った。二代目は梅雨明けしてからほとんどベランダに出ない。毛が長いから多分暑いのだろう。2年前の今頃の先代ならまだ元気だったので、狭いアパートのベランダを行ったり来たりしていたはずだ。部屋に入って二代目を抱き上げようとしたら逃げられた。小憎らしい奴だ。
それから約10分後、ほぼ約束の時間通りに電機屋さんが2人来て、まず古い洗濯機をベランダから撤去した。私は用意していた箒で吹きだまった竹の葉を掃こうとしたが、手が止まった。竹の葉はみんな枯れている。こないだの台風4号で飛ばされたのなら、まだ青いのではないか。もしかしたら、初代チャンイはこの竹の葉の匂いを嗅いだことがあるかも知れない。もしかしたら、この上を抜き足差し足忍び足で歩いたことがあるかも知れない。箒を片手にベランダでぼんやり突っ立ってると、電機屋さんが新しい洗濯機を2人がかりで運んできた。「設置してもいいですか」「えぇ、いいですよ。お願いします」。結局、吹きだまった竹の葉も、古い洗濯機の底面積を示している砂ぼこりも、きれいにすることができないまま新しい洗濯機が設置された。気づいたら二代目の姿が見えない。電機屋さんが古い洗濯機をトラックに積み込んでいる間に2DKの狭い室内のあちらこちらを覗きながら「チャンイー、もう終わったよー。出ておいでー」と声をかけたが、完全に気配を殺している。多分、ベッドの下に逃げ込んだのだろう。
戻ってきた電機屋さんが差し出した伝票の何カ所かに捺印した後、「白黒猫見ませんでした?」と訊いたら、年長者の方が「白黒ですか?…黒猫ならさっきあそこに行きましたけど」と寝室を指差した。やはりベッドの下か。小憎らしい白黒猫は真上から見ると黒猫に見えるので、きっとこの人の足元をすり抜けて避難したに違いない。電機屋さんに缶入りさんぴん茶を2本渡して礼を言った。電機屋さんが去り、静かになった部屋でもう1度二代目を呼んだ。耳を澄ましたがまだ気配を殺している。そこで、台所からポリ袋を持ってきてベッドのそばでカサカサ音を立てたら、すぐに目をまん丸にした二代目が現れた。長時間籠城しないのはお前のいい所だな、チャンイ。
Posted by 百紫苑(hakushon) at 19:52│Comments(2)
│チャンイ
この記事へのコメント
こんにちは(^-^)/
実はネ、昨日もこのページ読んだんですよ・・・
でも、初代のチャンイちゃんの事想像しちゃって・・・
また涙が~~~優しいご主人様と過ごした日々
幸せだったと思います・・・
実はネ、昨日もこのページ読んだんですよ・・・
でも、初代のチャンイちゃんの事想像しちゃって・・・
また涙が~~~優しいご主人様と過ごした日々
幸せだったと思います・・・
Posted by シャチ165
at 2007年07月24日 10:34

コメント有難うございます。
初代チャンイがあの世では病知らずであることを日々祈っています。
初代チャンイがあの世では病知らずであることを日々祈っています。
Posted by 百紫苑(hakushon) at 2007年07月24日 10:59
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